はじめまして。株式会社アイ・クリエイティブの代表取締役の鈴木勝博と申します。
よろしくお願い申し上げます。
さて、株式会社アイ・クリエイティブは平成9年4月1日、「自立人間を育成し明日の社会を切り開くために、新しい教育事業を創造すること」をミッション(命題)として誕生しました。
「アイ・クリエイティブ」という社名は、「インタークリエイティブ」、「相互創造性」という私が勝手に造った言葉に由来します。では、「インタークリエイティブ」とはどういうこと(状態)を意味しているのでしょうか?
ここに、会社創業の際の事業計画書に掲載した図があります。(稚拙な図ですが、あえて何の脚色も加えず、そのまま掲載します。いやはやなんともへたくそな図ですが。(^^;)
インタークリエイティブな環境とは、図1のような国・地域を超えて、創造性を持った人々がコミュニケートすることで、1人の創造性を超えた「創造性の止揚(アウフヘーベン)」を行える環境のことを指しています。(*「アウフヘーベン(Aufheben)」とは哲学的用語で、余り正確ではないかもしれませんが、「高次元のパラダイムシフト」のような感じと思ってもらえればよいと思います。)
当然、この環境は高度でインターラクティブ(双方向性)な情報ネットワークによって実現が可能になります。
そして、この環境下で行われる教育は、当然、従来の教育からかなり異なります。
また、私の創業時の事業計画書から引用してみましょう。少し長くなります。ご勘弁を。
『図1から、米国の中学生と静岡の高校生の情報交流による教育内容(前者の教育内容)と、東京の中学生と沖縄に住む大学生の情報交流による教育内容(後者の教育内容)について考えてみましょう。
例えば両者に同じ環境問題を問う教育を施したとして、前者の教育にはまず語学があり、日本と米国の文化・歴史、そして政治・法律、科学等の内容が含まれます。
後者の教育では、地域性、条例、科学等の内容が考えられます。
当然のことながら、前者と後者の教育内容は大きく異なりますが、ここではそのことよりも、環境問題を問う教育において前者と後者でこれだけの内容が存在すること、しかも生徒はこれらの内容を「環境問題を問う」という学習目的を明確にした上で、それぞれの通信相手とインタークリエイティブに学んでいく、という点に注目して下さい。
なぜならば、それは非常に良好な学習効果をもたらすにちがいないと確信できるからです。
例えば、語学ひとつを例にとってみても、従来の語学では「それを何のために学習するのか。」といった目的意識が非常に希薄であり、また教育者と被教育者の関係が固定的であることから被教育者は常に受け身でありました。
これに対して、インタークリエイティブな教育では学習目的が明確であり、教育者と被教育者の関係は流動的であることから被教育者の主体性が発揮されます。
また、インタークリエイティブ教育はそれ自体が「何かを創造する」ことであり、学習者からみれば自然な形でその達成感を学習の動機づけにできます。
先程の図1の例において、「環境問題を問う」ところを「芸術作品を共同作成する」「ゲームプログラムを分担して作る」といった課題にすれば、なおいっそう前言が実感できると思われます。』
これが、「インタークリエイティブな教育環境」です。そして、この「インタークリエイティブな教育環境」は、当然、真の意味での「教育の国際化」をもたらします。
また、事業計画に戻ります。
『一言「教育の国際化」といっても、それは巷間よくこれからの教育課題を論じる際に語られる言葉ですが、果たしてどれだけの方がその具体的な姿、形を思い描けるでしょうか。
インタークリエイティブ教育は、まさしく国際教育です。
それは、多民族国家である米国でさえ行うことができない国際教育です。
実は、それは至極当然のことなのですが、地球上のどこか一国で行う教育は、その国がどんなに多民族で国際的環境に限りなく近いものであったとしても、真の意味の国際教育とは言えないからです。
例えば、米国の国際教育において、人権の問題、レイシズム(人種差別主義)の問題を取り上げてみても、その普遍的なもの(例えば「人種差別反対」)の把握と異質性・多様性(例えば「民族、文化」)への理解の過程で、米国特有の価値観(例えば「民族間のマジョリティ・マイノリティの差」)が横たわっているのではないでしょうか。
即ち、私は一国で行う国際教育には限界があるのではないか、と考えています。
とくに、米国がともすれば「アメリカが一番国際化が進んでいる。アメリカの考えが唯一の国際正義である。」と思いがちな点に、こういった思いを深くしています。
一方、インタークリエイティブな国際教育では、各々の学習者は自分の属する国に留まった上で学習に参加することから、これはどこの国にも属しておらず、そこに一国の価値観、文化が大きく影響を及ぼす、といったことはありません。
学習者は、異なる文化を背景にした多様な学習者達と協調して「新しい価値を創造する」営みを通して、異質なものへの理解と普遍的なものを発見する目を体得していきます。
これらの点から、インタークリエイティブな環境は教育を従来のものから大きく変革し、それはむしろ新しい教育を創造していく可能性すら持つものと言えるのではないか、と私は考えております。
私は創業によって、このインタークリエイティブな環境を積極的に創り出し、新しい教育の創造に携わって参ります。』
という具合に、9年前の事業計画書は結んでいます。
9年経って、私の思いはまったく変わっておりません。いや、むしろ思いは強くなってきております。世の中は冷戦構造がなくなっても少しも平和で穏やかな世界になっていません。イラク戦争しかり、です。ますます世の中の混迷の度合いは深まっているのではないでしょうか。人々の心は疲弊し切っています。テロ、戦争によって生まれる孤児たち・・・・。彼らにどういった未来が描けるのでしょうか。
では、何が不足しているのでしょうか?
お金ですか?愛情ですか?政治ですか?経済ですか?教育ですか?
私は、地球上の全ての人々との「心の距離」が離れていることが原因と思っています。もっと近くに、もっと『お互いの顔』が見えるところで話し合いましょう。そうすると気づくでしょう。「お互いに違っている部分」と、そして「お互いに共通の部分」が。
恐らく、人類はその認識、「お互いに違っている部分」と「お互いに共通の部分」の認識を深め合うしか、理解し合うことはできないのだと思います。
「インタークリエイティブな教育環境」はそこを補います。インタークリエイティブは「異質なものへの理解と普遍的なものを発見する目」を養います。
まさに世界平和への唯一の道ではないか、と私は信じています。
「株式会社アイ・クリエイティブ」という会社が、未来永劫、その先兵の役割を果すことができたら、本望です。
皆様の末永いご支援、ご理解、そしてご協力をよろしくお願い申し上げます。
平成17年11月24日
株式会社アイ・クリエイティブ
代表取締役 鈴木勝博
さて、以上のご挨拶から、さらに12年が経ち、現在は平成29年6月22日です。
私の思いは、創業時から全く変わっていません。
現在は、今のところ大きな戦争は起きていませんが、その代わりにテロが頻発して、何人もの一般人が犠牲者になっています。そして、民族の対立は創業時の平成9年より激しくなっているようにも思えます。
「インタークリエイティブな教育環境」を早く実現して、「異質なものへの理解と普遍的なものを発見する目」を多くの市民とともに、養っていかなければなりません。弊社は創業から20年、創業時に抱いた方向性から何ら変わっていません。本当に一歩ずつですが、このビジョンに沿って、歩んできています。
弊社はこの先、未来永劫、この歩みを止めることはないと確信しています。私の後もどんどんこの道を継いでいってくれるに違いありません。
最後に、このご挨拶を見てくださっている皆様にお願いです。
皆様、これまでと変わらず、これからも弊社へのご支援ご鞭撻、そしてご協力をお願いします。
ともに、この世の中を変えていきましょう!!
よろしくお願い申し上げます。
平成29年6月22日
株式会社アイ・クリエイティブ
代表取締役 鈴木勝博